世にも不思議な死なない生き物たち

うわぁ~、なんだこれ、すごいな!このハダカデバネズミって、年をとってもなかなか死なないって書いてある。しかも、がんにもなりにくいって。一体どういうことなんだろう?

年を取らないのは、サイエンスイ星では当たり前だけど。

そういえばライフくんがいくつなのか、なんて考えたこともなかった。そもそも変わった姿してるから、何才なのかぜんぜんわかんないよ。

僕自身も地球でいう年齢はよくわからないなぁ…。地球でいうと何千年も経っている気がする。

???どういうこと?

そうか、地球人は僕らのように長生きできないもんね。でも、地球には僕と同じような姿かたちの生き物がいるでしょう?この前見た図鑑だとベニクラゲっていう生き物がいるらしいよ。

図鑑にあったかも…。あったよ。えぇっ!ベニクラゲって生まれ変わる※って書いてある。生まれ変わるって、そんなことあるの?

※再生能力のないベニクラゲも存在します。

 

「なにを楽しそうに話してるの」といいながらハヤモンとユッキー登場

 

ベニクラゲの話か。確かに彼らは生まれ変わるんだ。少し専門的な話をすると、ベニクラゲは死にそうになると、ポリプという生まれた直後の形に若返る。それからまた大人のクラゲに成長していく。ある研究者が実験したところ、なんと14回も若返ったそうだ。

もしかしてベニクラゲの形をしているライフくんも、何度も若返っているから何千年も生きているの?

そうじゃなくて、僕たちは生まれたときからこの形だよ。サイエンスイ星人と地球の人たちとは、体のつくりがまったく違うんだ。地球でもベニクラゲのように生まれ変わるのではなくて、ひたすら長生きしている生き物もいるでしょう?ニシオンデンザメっていうのがそうらしいよ。

う~ん、知らないなあ。

とても長生きするサメの1種だな。数年前には推定年齢392歳のニシオンデンザメが見つかっている。

もしかして、長生きは、強さといえるのかも。

 

生き物の強さってなんだろう

でも強いからといって、必ず長生きできるとは限らないんじゃないかな。だってライオンは“百獣の王”といわれるほど強いんだよね。それでも寿命はそんなに長くないみたいだよ。オスが10年ぐらいで、メスが10年から15年ぐらいって書いてある。

単純に長生きできるかどうかを生き物の強さとするなら人間はライオンよりずっと強いことになる。日本では平均寿命が80歳を超えているからな。

それじゃ強いって何なのかな。だって、人間とライオンが1対1で戦ったりしたら、きっと人間が負けちゃうよね。

戦って勝てば強い、という単純な話じゃないと思うよ。

たしかに。僕らは不老不死だけど、これからはサイエンスイ星では生き残れなくなるかもしれない。

生き残れないの?

そう。サイエンスイ星の環境が急に悪くなったりすると、みんな死んじゃうかもしれないでしょ。


“生き残る”というのは重要な言葉かもしれないな。地球でもこれまでの歴史の中で“生き残れなかった”生き物が、どれほどたくさんいたことか。

確か恐竜も生き残れなかったんだよね。恐竜たちは今から6600万年ぐらい前にほとんど死んでしまったと聞いたことがあるよ。ただ恐竜は死んでしまったけれど、その頃から生き続けている生き物もいるんじゃなかったっけ?

そうよ。恐竜が絶滅した理由は、地球の環境が大きく変わってしまったからだよね。

サイエンスイ星も同じような出来事が起こるかもしれない。

ただ地球では環境が変わっても、死なずに生き延びた生き物たちがいた。あるいは新しい環境で生きていけるように変化、つまり突然変異した生き物だ。こうして生き残った生き物たちは“強い”生き物といっていいのかもしれない。

それが進化、ということなの?

基本的にはそうだけれど、進化についての考え方は、まだ定まっていないんだよ。

 

なぜ、恐竜たちは滅んでしまったのか

でも滅んでしまったということは、恐竜たちも結局は強くなかったんだね。

体が大きくて力も強いから、他の動物と争うときには有利だったでしょうね。けれども、大きな体と強い力を保つためには、たくさん食べなければならないでしょう。

もし、食べものが十分になかったら困っちゃいそう。

恐竜が滅びた正確な理由は、まだよくわかっていない。理由の1つとして考えられているのが、地球に巨大な隕石がぶつかった事件だ。

隕石がぶつかるって、想像できないな。それで何が起こったの?

ぶつかった隕石が爆発して、大量のチリやホコリが地球上をおおってしまったのよ。するとどうなると思う?

大量のチリやホコリというのも、どれぐらいなのか、わかんないな。

宇宙ではよくあることらしいよ。別の星に行った時に聞いたんだけど、星のまわりをホコリみたいなものがおおってしまうらしいんだ。もし地球がそんなことになったら、太陽の光が届かなくなるだろうね。

光がなくなったら、一日中、夜みたいになってしまいそう。

明るさだけの問題じゃないな。太陽から降り注ぐ熱は、地球をよい具合に温めてくれている。その熱がなくなってしまったら、地球の温度がどんどん下がっていくだろう。

つまり寒くなるということね。どれぐらい気温が下がるのかによるんだろうけれど、あんまり寒くなるとうれしくないかもしれない。

宇宙で見かけた星の中には、完全に凍りついているのもあったよ…。

凍りつくって…。ちょっと待って、そういえば地球にも氷河時代といわれるほど寒いときがあったんだよね。

人類が誕生するずっと前のことだけれどね。おそらく隕石が地球にぶつかり環境が変わってしまった結果、恐竜たちの食べるものがなくなったんだろう。つまり恐竜たちは変化した環境に対応できなかった、だから生き残れなかったんだ。環境に対応できなくなって滅びていく現象を、少し難しい言葉だけど「淘汰」と呼ぶんだ。

 

強いものが生き残る

淘汰と進化か、なんだか難しいね。

進化について、よく例えに出されるのがキリンだよね。キリンの首が長い理由は知っているかな?

知らないなあ。もしかしたら最初は長くなかったけれど、進化して長くなった、ということ?

進化して長くなった、ということではないらしいよ。大昔のキリンは、今のキリンほど首は長くなかった。これは化石が見つかっているから確かみたい。そこで、あるとき突然変異が起こって、首の長いキリンが生まれたんだって。

その「突然変異」って、さっきも出てきたけれど、どういうことなの?

キリンの例でいえば、昔生きていたキリンたちの首は、短かった。ところが、あるとき突然、首の長いキリンが生まれた。少し難しい話になるけれど、子どもが親に似るのは遺伝子が同じだから。遺伝子というのは、生き物の設計図のようなものだな。

僕たちも遺伝子のようなものはあるよ!だからサイエンスイ星人の子どもは、サイエンスイ星人になるらしいんだ。サイエンスイ星人から、地球人の子どもが生まれることはないからね。

ただ、似ているんだけれど、どこかが違ってしまうことがある。キリンの場合なら、遺伝子のどこかが違ったために首の長いキリンが生まれた。これが突然変異だ。

要するに、少しずつ首が長く伸びていったわけではない、ということね。

そこは、わからないよね。首が短かった頃のキリンの化石を調べると、首の骨が7本だったことはわかってる。そして今のキリンの首の骨も7本。でも、いきなり今の長さになったかどうかはわからないんじゃないかな。

骨の数は同じで、どれぐらい長くなったのかはわからないけれど、とにかく首が長くなった。それが突然変異なんだね。じゃあ突然変異と進化は、どのように関係しているの?

首の長いキリンと短いキリンがいた場合、どっちが生きていくのに有利かな。あるいは、どっちが強いかといってもいいかもしれないね。

どうなんだろう。首が長くて背が高いと、遠くまで見えるよね。

遠くが見えるのはいいかもしれないね。もし、何か敵がやってきたときでも、早めにわかれば逃げられるじゃない。

逃げるが勝ちともいうよね。あるいは食べものについて考えたら、どうなるかしら?

キリンは草食動物だから、木の葉っぱなんかを食べるんだ。あっ、そうか!首が長かったら、高いところにある葉っぱを食べることができるね。逆にいえば、キリンより首の短い他の草食動物と、食べものの争いをしなくてもすむってことか。

つまり首の長いキリンのほうが、生き残るのに有利なわけだ。だから突然変異で首の長くなったキリンが生き残ったと考えられている。ただ、なぜ突然変異が起こったのか、その正確な理由などはよくわかっていないけれどね。

生き残ったのだから、強かったということなのかな。もし強くなったおかげで、他の動物と争わなくてもよくなったというのなら、私はなんかうれしくなっちゃうな。

 

・地球人は、進化によって今のような姿になったらしい

・僕たちサイエンスイ星人も進化したんだろうか

 

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