カッコいいってどういうこと?

あぁ~、もうなんてカッコいいの。このグループ見てよ、最高じゃない?

???

あれ?まさか知らないとか、そんなわけないよね?

ごめん、誰だろう。ちょっと見せて…。う~ん、カッコいいかな。同じジャニーズ系なら、もう解散しちゃったけどもっとカッコいいグループがいたと思うけど。

なになに、なんか、おもしろそうな話してるじゃない。アイドルグループがカッコいいなんて、カホもやっぱり今どきの女子なんだね。


今どきって、そうかな。私の友だちはみんな、このグループが大好きだけど。


人気のアイドルグループって時代によって違うし、もちろん国によっても違うだろ。何年か前にアメリカにいたとき、向こうでは韓国のアイドルたちが大人気だったぞ。

きっとカッコいいの基準が違うのね。

美人も、時代によっては大きく変わるでしょう。例えば今から1200年ぐらい前の平安時代には、どんな女性が美人といわれたか知ってるかな?


う~ん、教科書で見たことがあるような、ないような。

それ聞いたことありますよ、確かふっくらしたまるい顔じゃなかったですか?

そのとおり。それが江戸時代になると、今度はうりざね顔といわれる、アゴの細い女性が美人といわれるようになった。そして今ではアゴも頬も細くてシュッとした小顔の女性が、人気のようだ。


カッコいいって、時代や場所によって違うし、たぶん人それぞれ違うってことなんだね。

ワンコに見えている世界

ちょっとその雑誌を貸してごらん。カホがカッコいいといってるグループだけど、こうやってコピーをとって白黒にしてしまうとずいぶん印象が変わると思わない?


そうね。カラー写真と比べれば、カッコよさが2割ぐらい減っちゃう感じかな。


なぜ、色つきと色なしでは印象が変わるんだろうか。そもそも色ってなんだと思う?

色の話って、実は深くて難しいですよね。そもそもカラー写真にしても、あるいは白黒でも、私たちに見えているのは、あくまでも反射された光じゃないですか。

どういうこと?

例えば植物の葉っぱって緑色に見えるでしょう。葉っぱが緑色に見える理由は、葉っぱが緑色以外の光を吸収して、緑の光だけを反射しているからなんだよ。

緑の光を反射しているから、緑色に見える…?よくわからないな。

例えば真っ暗な部屋に鉢植えが置いてあっても、葉っぱの色はわからないでしょう?その理由は、葉っぱが光を反射していないからなの。光が十分に当てられると、葉っぱは緑色の光だけを反射するの。

緑色だけってことは、他の色の光もあるのかな?

光の三原色といってね、青と赤と緑の組み合わせで、いろいろな色ができるんだ。

タケGがワンコを飼ってるでしょう。あのワンコはボール遊びが好きなんだけれど、緑の芝生の上に赤いボールを転がしてもうまく見えないのよ。


ワンコには緑色と赤色の区別がつかない、ということ?


人は、光の三原色を見分ける仕組み、光の受容体を3種類、青の受容体、赤の受容体、そして緑の受容体を持っているんだ。ところがワンコには、受容体が2種類しかない。人間は赤・青・緑のかけ合わせでいろいろな色が見える。例えば赤と緑をかけ合わせれば、黄色になるといった具合だな。ところが、犬は人間ほど色を見分けられない。だから緑の芝生の上に赤いボールがあっても、緑と赤の違いがよくわからないんだ。


えぇ~!じゃあタケGのワンコと私では、同じ赤のボールを見ていても見え方が違うってこと?

少し考えてみようよ。色を見極める仕組みがワンコと人の眼では違うし、形やついている場所も違うでしょう。

そうか!色も違うし、芝生にボールが転がっていたとして、私は少し高いところから見下ろす形になるけれど、ワンコにはボールが目の前にあることになるね。うわぁ、ちょっと待ってね。ひょっとしたら、私とアイコさんでもお父さんの見え方は違ってたりして。

それは当然でしょう。まず私とカホちゃんの眼が、完全に同じということはないよね。たぶん視力検査の結果も違うでしょう。そして身長が違うもの。カホちゃんはいつも下からお父さんを見てるし、私はだいたい同じ目線で見てるからね。そしてもっと大切なのが感じ方の違いね。アイドルグループの話があったけれど、私に見えている世界と、カホちゃんに見えている世界は、きっと違うはずだよ。

大好きなニオイ

いわれてみればそのとおりね。いつもはお父さんって、大きいなあと思っていたけれど、アイコさんから見れば、そんなに大きいわけじゃないんだね。ちょっと待って。同じものを見ていても、見え方が違うわけだよね。じゃあ、例えばさっきのアイドルグループの歌を聞いても、私とお父さんやアイコさんでは、聞こえ方が違う可能性もあるってこと?


それは当然でしょう。実際、カホの話し声についても、私に聞こえている感じとアイコさんの感じ方が、まったく同じということはないと思うよ。


そういうことなのね。目で見えている世界が微妙だけれど違っていて、聞こえてくる音で感じる世界も違う。ということは、もしかしたらニオイの感じ方も人によって違うのかな。


それは違うだろうね。


例えばお父さんって、一生懸命に仕事しているときってよく汗をかくでしょう。あのニオイを私は結構好きなんだけれど、お母さんはそうでもないみたい。


汗のニオイは、人それぞれだからな。自分のニオイを自分で変だと感じたことはあまりないけれど、人にとっては変なニオイなのかもしれないね。

じゃあカホちゃんは、お母さんの汗はどう感じるの?

お父さんとお母さんが一緒にテニスした後って、同じように汗かいてるよね。

そうだ、おもいだした!お母さんの汗のニオイって、とっても感じ良かったんだ。

どうして、お父さんとお母さんで違うのかわかる?

どうしてだろう?


カホは赤ちゃんを見たことあるでしょう。赤ちゃんって、どうしてた?


たいていお母さんと一緒にいて、よく抱っこされてるよね。そうか!赤ちゃんはお母さんのニオイの中で育ってきたわけね。だから、お母さんのニオイで私は安心できるのかもしれないね。


じゃあ、逆に安心できないニオイ、カホを不安にさせてしまうようなニオイって何があるかな?


なんだろうな…。

私はよく感じるよ、ヤバいニオイ。冷蔵庫に残っていた食べものを口に入れた瞬間、「ゲェ!」ってなって吐き出すことがあるもの。

それって消費期限が切れてたものじゃ…。

食べものを捨てるのって、もったいなくてできないから、ついつい残しておいてしまうんです。それで、食べものなんだからと思って口に入れて、失敗したことが何度もありますね。

ほんと、アイコさんって食いしん坊なんだね。

感じ方は一人ひとり違う

食べもののニオイも、カホがお母さんに感じる気持ちと同じだよ。お母さんには安心できるだろ。食べものも変なニオイがしていたら、安心できない。それは、食べないほうがいいというサインだよ。


変なニオイがしているものを口に入れて、ぎゅって噛んだりするとギャッ!ってなるもんね。あれは食べちゃダメってことなのね。

ニオイと味も人によって感じ方は違うしね。

ちょっと待ってね。目に見える世界が人それぞれ微妙に違うわけでしょ、そして聞こえてくる音も違うし、ニオイや味も人によって感じ方が変わる。すると、人にはたしか五感があるんだよね?


視覚、聴覚、嗅覚と味覚、もう1つあるんだけど、知ってるかな?


え~っと触覚だ。何かに触ったときの感じ方だよね。これも人によって違ったりするのかな。


どう思う?


きっと違うんだと思う。

カホちゃんは「ナマコ」って生き物を知ってる?

どこかで聞いたことはあるような。

ちょっと待ってね、スマホで検索してみるから…。ほら、これがナマコだよ。

おぉっ、ちょっとキモいんだけれど。まさか、これを触ったりはしないよね?

ところが、私は触るの。だって、触ってみないとおいしいかどうかわからないから。

ナマコをさわって味を確かめる人は、あんまりいないと思うけどね。でも鮮度を見極める手段の1つとしてなら、触覚はありでしょうね。

ナマコの体をソッと押してみるんですよ。すると「この子はおいしい」って指が教えてくれる。この感覚は、ほとんどいつも当たりますね。

アイコさんは食べものを見極めるために、触るってこと?触ってわかるって、すごくないですか?!


アイコさんは、ちょっと特別かもしれないね。でも、こう考えてみたらどうかな。
感じ方は人それぞれ違う。だから、同じものを見てもいろいろな見方がある。音楽でもそうだろう?


そうか。みんなが同じものを同じように好きになったりしたら、きっとつまらないね。いろいろな人がいて、それぞれに好き嫌いがあって、好みの合う合わないがあるから、楽しいんだ。

 

・地球人には、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感があるらしい
・五感は人によって微妙に違っているようだ

カホちゃんのギモン シリーズ