地球は、生き物に暮らしやすい?

 

カホちゃんから聞いたんだけど、ライフくんはサイエンスイ星から来たそうだね。

そうだよ。

そのサイエンスイ星とは、どういうところなのかな。

地球とはまったく違って、何もないんだ。例えば建物はないし、車も走ってない。レストランとかもないし、遊園地なんかもないよ。

そんなに何もないところで、よく生きてられるね。

僕らは地球の人たちとは、まったく違う生き方をしているから大丈夫なんだ。

まあ、地球も昔は今のような建物はなかったわけだし、さらに大昔の話をするなら、それこそ陸もなかった時代もある。

その話、聞いたことあるよ。40億年ぐらい前の地球でしょう。

46億年前に地球ができたときは、1,000℃以上もあるマグマに覆われていて、生き物なんてとても生きていられない場所だったのよ。それがだんだん冷えていって、水ができて海になった。最初の生命は海の中で生まれたといわれてるね。

そういう誕生の歴史みたいな話は、僕たちの星では聞いたことがないなあ。じゃあ地球人は最初、海の中で暮らしていたの?

いやいや、地球に人類が誕生したのは、わずかに20万年ぐらいまえのことだよ。最初の生き物は、38億年ぐらい前に誕生した単細胞の微生物だね。それからさらに10億年ぐらいたってから、魚のような生きものが誕生したといわれているんだ。

何億年とかいわれても、ピンとこないんだけど、とにかくすごく長い時間がかかっているっていうことでしょう。そして突然変化を起こしながら、そのときの環境に合っている生きものが、生き残ってきた。それが進化で、その環境に合わなくなった生きものは、生き残れなくなった。これが淘汰だったよね。

そうだな。海から陸に上がる生きものが出てきたのは、4億年ぐらい前のことだ。

 

強い/弱いって、一体何と何を比べてるの?

 

陸に上る前に、生き物の種類が爆発的に増えた時期があったよね、確かカンブリア紀と呼ばれているんじゃなかったかしら。

そのとおりだね。5億4000万年ぐらい前の話で「カンブリア紀の生命大爆発」といわれるほど、生き物が一気に増えたんだ。その頃の生きものはまだ海の中にしかいなかったけれど、ちょうどその時期に生き物が眼を持つようになった。眼の誕生と種類が増えたことには、おそらく関係があるといわれているね。

えっ!じゃあそれよりもっと前、大昔の生きものたちには、眼がなかったの?

それが定説になっているよ。

ライフくんは眼、あるよね。

地球の生き物と同じ眼じゃないけど、見えているよ。

眼がないと、つまり何も見えないと困るだろうな。

前に一度、実験してみたからよくわかるよ。目を閉じて動くのは無理だった。

ものを食べることもできないしね。それより何より何か危険なことがあっても、それがわからないって怖いよね。

目が見えるから、何かが襲ってくるのがわかる。だから逃げることもできるわけだ。

襲ってくるのは動物だけれど、動物は何を食べるかによって2種類に分けられたよね。

草食動物と肉食動物でしょう。

肉食動物は、何を食べるのかな。

ちょっと残酷な話だけれど、自分よりも体が小さかったり、弱かったりする生きものかな。

地球の生きものって、すごいことするんだね。

カホは、弱肉強食って言葉は知ってるかな。

まだ習っていないけれど、漢字をみればなんとなく想像がつくよ。弱い生きものを、強い生きものが食べるってことでしょう。

弱肉強食の世界では、なぜ眼が大切なのかわかるでしょう。弱い生き物にとっては、強い生きものに襲われないようにまわりを注意深く見ていなければならない。逆に強い生きものはいつも、弱い生き物を探しているわけだね。

じゃあ人間は、とても強い生きものなんだ。

そうかなあ。人間がライオンと戦ったりしたら、すぐに負けちゃうじゃない。

ポイントはその「戦う」ってことだよね。そもそも戦ったりしなければ、負けることもないわけじゃない。

確かに。ライオンと戦う人なんて聞いたことないね。

人間が今のように生きていられる理由は、他の動物たちと戦わなくてもいいようになったからだ。だから戦わなくても済むようになることを、強さといってもいいのかもしれないな。

 

こわいのは、見えない相手

 

相手がライオンのようにはっきりと目に見えていれば、わざわざ戦わったりしないですむよね。でも、見えない相手、それもとても恐ろしい相手もいるんだけれど、カホちゃんは知っているかな。

なんだろう。見えない相手ということは、もしかしてとても小さいのかな。

人間の眼には見えないぐらい小さな生き物たちも、たくさんいるよね。むしろ地球上の生き物の割合でいえば、眼に見えない生き物が全体99%ぐらいになるはずだよ。

え〜っ!ということは地球の生き物のほとんどが、実は人間の眼にはみえてないことになるじゃない。

そうだよ。カホは去年、ひどくお腹をこわしたでしょう、覚えているかな。

あのときはほんとに苦しかった、もう二度とあんな目にはあいたくない。

どうしてお腹をこわしたのか覚えている?

それは、私が悪いんだ。友だちの家に遊びに行ったときにもらったお菓子を、大切に引き出しの中にしまっておいて、ずっと後で食べちゃったから。食べるときに、ほんの少し変なニオイがしたんだけど、友だちの家で食べたときはすっごくおいしかったの。だから大丈夫だと思ったんだけど。

食べものって怖いんだよって、そのとき教えたよね。

うん、バイキンの話だよね。

正確には病原体というべきだろうな。要するに病気、つまり感染症を引き起こすのが病原体で、寄生虫のほかにカビ、これは真菌というけれどさらに細菌とウイルスの4種類がある。

いま世界中で大流行しているコロナは、ウイルスの仕業だね。

そこで一つ疑問があるんだけれど、コロナって人から人にうつるんだよね。

そうだね、うつる力が強いから病気になる人がたくさんいるんだ。

でも、うつっても病気にならない人も、実はたくさんいるって聞いたんだけれど。

そのとおりだよ。どうしてだと思う?ライフくんも一緒に考えてみようよ。

その秘密、実は僕知ってるんだ。病気の人の体の中に入って、何が起こっているのかを実際に見たことがあるから。

うそぉ、そんなことできるの?

できるさ、ほらね、こんな感じだよ。

体の中に入ったコロナウイルスを、免疫がやっつけているところを見たんじゃないか。

そう。サイエンスイ星人と違って、地球の人間ってすごいなあ、強いなあと感心したんだよね。だってカホちゃんの体は、ウイルスや細菌と闘ってくれている。でも、その闘っているところを見たことはないよね。

もちろん、そんなの見たことないよ。

でも、体の中でいろいろな病気から守ってくれているから、こうして健康でいられるんだね。

 

強い植物、そして強い人間とは

 

動物は肉食と草食があるけれど、基本的に弱肉強食の世界で生きているわけでしょう。じゃあ、植物はどんな生き方をしていると思う?

植物って、とても穏やかに暮らしているんじゃないのかな。

森にキャンプに行ったときのことを思い出してごらんよ。キャンプ場の近くの森の中を散歩したよね。あのとき何か、感じなかったかな。

そうねえ、一つ思ったのは、木の葉っぱって高いところにあるんだなってことかな。私の背の高さぐらいのところには、そもそも枝がなかった。葉っぱは高いところにあって、だから森の中でも下の方はなんとなくうす暗い感じだった。

どうして葉っぱは高いところにあるんだろうか。

どうしてかな。

葉っぱで植物は何をしているのかな。

それは習ったことがあるよ、光合成だ。太陽の光を使って、水と二酸化炭素から炭水化物をつくるんだよね。そのときに酸素ができる。

太陽の光をたくさん受けるためには、葉っぱはどこにあればいいと思う?

そりゃ高いところの方がいいよね。そうか!だから葉っぱは高いところにあるんだ。

もし木が2本、隣り合わせに生えていたとして、片方がもう一方より背が低かったらどうなるだろう。

もしかして光合成に必要な太陽の光が少なくなる…?

そのとおり。実は動かない植物にも強いものと弱いものがある。

地球で生きているものは、どれも強いか弱いかに分けられるのか。ということは、もしかして人間にも強い/弱いの違いがあるのかな。

とても悲しい話だけれどね、人類の歴史は、人と人の争いの歴史でもあるわけだ。

それ、戦争だよね、社会で習ったよ。これまでも日本の中だけじゃなくて、世界中で争いごとが何度も起こってきたんだって。

例えば学問の世界で競い合うのは、とてもよいことなんだ。そのおかげで科学が発展し、その成果で人の暮らしは豊かに、快適になってきたわけだからね。そういう意味で競い合って強くなるのは、とてもよいことでもある。だからといって、弱いものをやっつけるだけというのも違うと思うよ。

強くなるのは決して簡単じゃないし、何で強くなるのかも大切なんだな。やっぱり地球人たちの生き方って、僕たちとはかなり違うようだ。

 

 

・強くなるといっても、いろいろなやり方があるんだ

・もしかして地球人として生きるのって、すごく大変なことなのかもしれない

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