食べたものはどこへ

※NOMON研究所にハヤモンとやってきたカホちゃん

今日はドクターケイに聞きたいことがあって、研究所に連れてきてもらいました。


うれしいこというね、一体何かな?


『ウンログ』ってアプリを知ってる?


もちろん。毎日のウンチを記録すれば、体の調子を教えてくれるアプリだ。


食べたら、最後は出るのが当たり前だよね。でも、その途中がどうなってるのかがよくわからないの。三大栄養素とかビタミン、ミネラルを食べるのが大切だというのはわかったんだけれど、毎日食べているご飯は、体の中でどうなるの?


簡単には答えられない質問だな。1つずつ一緒に考えていこうか。まず、食べものはどこから体の中に入るのかな。


それは口だよね。

私はたま~にだけど、実験するときに鼻から吸い込むこともあるよ。


また、いきなり変なこといっちゃって。それは血液脳関門(血液から脳組織への物質の移行を制限する仕組み)をすり抜けるための、特殊な実験でしょう。


まあまあ、ちょっと変わった人の話はおいといて、口から先というか、のどの奥はどのようになっているか知ってるかな?


食道につながっていって胃に入って、それから腸、確か小腸から大腸につながってるんだよね?


そして大腸の先がおしりだ。そのおしりからウンチが出てくる。


ちょっと待って。じゃあ口の奥からお尻まで一本の管がずっとつながってるってこと?


正解だ。

とにかく粉々に

もし一本の管で最後までつながってるのなら、口から入れたものがそのまま出てくることもあるんじゃないのかな。


お腹をこわしているときには、そういうこともあるかもね、まあめったにないけれど。どうしてかといえば、口の中に食べ物を入れたら、カホちゃんはどうする?まさかそのまま飲み込んだりしないよね。


そうね。パパからはとにかく「30回噛むように」としつこいぐらいにいわれてる。


しっかり噛むと、いいことがいっぱいあるからだよ。噛んでいるうちに食べたものと唾液つまり「つば」がしっかり混ざる。唾液は、ご飯やパンなどの炭水化物を分解してくれる。

噛めば噛むほど脳が刺激されるから、頭が良くなるという話もあるよ。


アイコさんの話は今のところ仮説だけれど、たしかに昔から言われてるね。お年寄りが流動食などを流し込むようになって、食べものを噛まなくなると認知症が進むという研究成果はあるからな。


噛むことによって食べたものを細かくしながら、炭水化物は分解される。でも、お肉とかは簡単に分解されそうにないよね。


そこで次のプロセスは、食道から続いている胃で行われる。ここでは胃液という消化酵素を含んだ酸性の液体が出てきて、肉などのタンパク質を分解する。そこからさらに十二指腸を通る間に膵液や胆汁が出てきて、食べたものがどんどん細かく分解され、体に吸収されやすい養分となっていく。


どんどん小さくなっていくわけね。

どれぐらい小さくなると思う?

もしかして呼吸のときの酸素と同じようになるのかな。酸素って、最後は細胞の中に入ってエネルギーを作るんだったよね。あっ!食べたものも体を動かすエネルギーになるんだとしたら、細胞の中まで運ばれるんだ。ということは、細胞よりも小さくしないと、細胞の中に入らないよね。


鋭いね。最終的にはアミノ酸やグルコース(ブドウ糖)などへ分解され、それらが血管を通して体中の細胞に届けられるんだ。


あれ?それじゃあよくテレビなんかで「コラーゲンたっぷりの食べものを食べたら、次の日はお肌プルプルになります」とか本当なのかな。だっていくらコラーゲンを食べても粉々に分解されるんでしょ。

よく、そんなこと考えるね。さすがカホちゃんはハヤモンの子どもだわ。まあ、コラーゲンが分解されてできたアミノ酸が、お肌に効く可能性も否定はできないけれどね。

腸内細菌にもごはんを

口から入った食べものは、体の中の管を通っていく間に、どんどん分解されて細かくなっていく。そして細胞の中に入るぐらいだから、ミクロの世界にまで小さくなって血管を通して体中に運ばれていく。そこまではいいとして、食べたものが全部吸収されるわけじゃないよね。


小腸の先はどうなってる?


大腸だ。前に図鑑で読んだことがあるよ。小腸が6メートルぐらいあって、その先が大腸、こっちの長さは1.5メートルぐらい。大腸のほうが短いけれど、小腸より太いんだ。そして大腸でウンチができる。


そのウンチって何からできていると思う?


食べかす、かな。


半分正解ね。


半分ってことは、食べかす以外にも何かが混ざっているってこと?


人の体には細胞がどれぐらいあったか覚えてるかな。


37兆個でしょ。想像もつかないほどの数だから、すごく印象に残っているよ。


では、大腸の中には100兆個もの生き物がいるといったら、どう思う?


人の体の中に、人の細胞の数よりもたくさんの生き物がいるってどういうこと?ドクターケイさんのいうことって、ときどきついていけなくなるよ。


ところが、本当なんだ。実際、大腸には腸内細菌と呼ばれる細菌が、100兆個ぐらい棲んでいるんだ。


うっそぉ〜、そんなの信じられないよ。私の体の中に、そんなにたくさんの細菌がいるなんて。でも、もし本当にそうだとしたら、一体どうやってお腹の中に入ってきたの?

大腸も口からずっとつながってる管だよね。その管の中って、人の体の中にあるのは確かだけれど、体の外ともいえるんじゃないの。だって、喉の中は体の中だけど、体の外ともつながってるわけでしょう。だから食べものや飲みもの、吸い込んだ空気からも細菌たちは入ってこれるじゃない

そっかぁ!大腸は確かに私の体の中にあるけれど、大腸の管の中は私の体の外でもある……。人間の体って、複雑だね。


でも、大腸の中にいる細菌たちが体に良いことを頑張ってくれていると聞けば、どう思う。カホちゃん、コアラって知ってるでしょう。


動物園でみたことあるよ!オーストラリアにいて木にすんでるだよね。

あのコアラが食べているユーカリの葉には、毒が含まれているの。それを食べても平気なのはどうしてだと思う?

もしかして、それも腸内細菌のおかげってこと?

小腸までで消化しきれなかったものを、大腸にいる細菌たちが消化してくれるの。それが最終的にウンチになって出てくる。ウンチの3分の1ぐらいは、実は細菌なんだよ。

ウンチは健康のバロメーター

お腹には悪玉菌と善玉菌があるって、聞いたことがあるよ。それが腸内細菌なんだ!悪玉菌は、体に悪さをするやつでしょう。それがウンチとして外に出てくるから、健康でいられるわけね。


それほど単純な話ではないがね。ともかく健康でいられるのは、善玉菌の勢いが強いからとはいえるだろう。

赤ちゃんのウンチって、全然くさくないし、とってもきれいなんだよ。どうしてだかわかる?

赤ちゃんって、まだごはんを食べられないよね。もしかして、お母さんのおっぱいだけを飲んでいるから、まだ悪玉菌がいないのかな?


カホも、赤ちゃんのときはそうだったよ。


じゃあ少しずつ大きくなって、いろいろなものを食べるようになると、それを通して悪玉菌も体の中に入ってくる。でも、善玉菌の方が強ければ、体の中は健康でいられる。そして、細菌たちが食べものの残りかすを分解してくれたものが、ウンチとして出てくる。ということは、ウンチを見れば、大腸の中がどうなっているかがわかるのかな?


お、見事!ちゃんと最後までたどり着いたね。それが「ウンログ」の仕組みだよ。ウンチは、体の中で何が起こったのかを教えてくれるんだ。だから、毎日のウンチを確認していれば、体の調子がわかる。何を食べれば、どうなるのか。それが体に良い食べ物だったのかどうかも、ウンチでわかるんだ。

良いウンチは、そんなにくさくないんだ。逆にくさいウンチは、どこかが調子悪い証拠だよ。そんなときは、食べるものについて考えたり、運動を増やすとかして自分で改善していけるよ。そういえば、アツモンは、断食が効果があるって言ってたけど、ちょっとねえ。私は、お肉をへらして、発酵食品とか消化しやすいものを食べて運動してるわ。

 

・地球人は食べたものをウンチとして出す
・食べたものは体の中で細胞に入るぐらい小さく分解される
・地球人の体の中には、別の生き物が100兆も暮らしている
・ウンチを見れば健康状態がわかる

カホちゃんのギモン シリーズ